鳥取・山陰の松葉がに文化|松葉がにの日・五輝星・親がに汁と境港の紅ズワイ
「蟹取県」を掲げる鳥取県の松葉がに文化を紹介。江戸時代の古い記録、11月第4土曜の「松葉がにの日」、最上級「五輝星」、親がに・若松葉がにの旬、境港の紅ズワイガニと新かにめし、かに感謝祭まで、鳥取県の資料をもとにまとめました。
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鳥取県は松葉がにと紅ズワイガニの産地
山陰の日本海側は、冬の松葉がに(オスのズワイガニ)で知られる地域です。中でも鳥取県は、松葉がにと紅ズワイガニの両方が水揚げされる産地で、「蟹取県(かにとりけん)」と名乗ってカニの魅力を発信するキャンペーンも行っています。
鳥取県の案内によると、松葉がにの主な水揚げ港は、境漁港、鳥取港、網代漁港です。県の西部にある境港は、紅ズワイガニの水揚げでも知られています。
| 呼び名 | 種・性別 | 旬の時期(鳥取県の案内より) |
|---|---|---|
| 松葉がに | ズワイガニのオス | 11〜3月 |
| 親がに | ズワイガニのメス | 11〜12月 |
| 若松葉がに | 脱皮して間もないオス | 2月 |
| 紅ズワイガニ(紅がに) | 紅ズワイガニ | 漁期は9〜6月 |
松葉がにそのものの特徴や選び方は松葉ガニとは?で紹介しています。この記事では、鳥取県を中心とした山陰のカニ文化に注目します。
江戸時代から記録に残る松葉がに
鳥取県の案内によると、「松葉がに」の名前が登場する古い文献として、弘化2年(1845年)に書かれた鳥取藩の「町目付日記」が知られています。若桜町の御用座敷を建て替えた際の棟上げの祝宴で出された献立に、「松葉がに」が含まれていたそうです。
その後、さらに古い天明2年(1782年)の鳥取藩の公文書の控えにも、津山藩への贈答品の目録と思われる記載が見つかったとされています。江戸時代には、松葉がにが祝いの席や贈り物に使われる特別な食べ物だったことがうかがえます。
名前の由来には、脚の身を冷水に入れると松の葉のように広がるから、浜の松葉で焼いて食べたから、などいくつかの説がありますが、はっきりしたことは分かっていません。
11月第4土曜日は「松葉がにの日」
鳥取県では、11月の第4土曜日を「松葉がにの日」としています。鳥取県の案内によると、鳥取県松葉がにPR推進協議会(現在は鳥取県産魚PR推進協議会)が平成12年に制定し、産地でイベントが開かれています。
解禁から少したった11月下旬は、松葉がにと親がにの両方が出回る時期です。産地の港町ではカニにちなんだ催しが開かれ、冬のカニのシーズンを盛り上げています。開催の内容や日程は年によって変わるので、鳥取県や各地の観光協会の案内を確認してください。
最上級ブランド「五輝星」
鳥取県は、特に大きく品質のよい松葉がにを「特選とっとり松葉がに 五輝星(いつきぼし)」として区別しています。基準は次のとおりです。
- 甲羅の幅13.5cm以上
- 重さ1.2kg以上(市場での販売時点で生の状態で計測)
- 脚がすべてそろっている
- 色合いが鮮やか
- 身が詰まっている
鳥取県によると、目利き人が選び、全体の0.1%に満たない貴重品とされています。通常の松葉がにには、県内の沖合底びき網漁船が水揚げする甲羅の幅11cm以上の高品質なものに、鳥取産を証明するタグが付けられます。各地のブランドの違いはカニのタグの色と意味で比べています。
親がにと若松葉がに
鳥取の冬のカニ文化は、大きな松葉がにだけではありません。メスの「親がに」と、脱皮して間もない「若松葉がに」も、地元で親しまれているカニです。
鳥取県の案内では、親がには雄に比べて小さく、かに汁によく使われると紹介されています。旬は11〜12月です。若松葉がには、甲羅がやわらかく水分が多いカニで、手ごろな価格で楽しめ、旬は2月とされています。
県内の岩美町では、中学校の給食で親がにや若松葉がにを出す取り組みも紹介されていて、カニが地元の子どもたちにとっても身近な食べ物であることが分かります。
親がにの内子や外子の楽しみ方はセコガニ・セイコガニ・香箱ガニの違い、若松葉がには水ガニとは?で詳しく紹介しています。
境港の紅ズワイガニ
鳥取県西部の境港は、紅ズワイガニの産地でもあります。鳥取県の案内によると、日本海のベニズワイガニ漁はかごを使い、9月から6月までの間、水深800mより深い海域で行われています。地元では「紅がに(ベニガニ)」と呼ばれて親しまれています。
境港には加工施設も集まっていて、棒肉、爪肉、かにみそなどの冷凍食品が多く作られ、殻はキチン・キトサンの原料にも利用されていると紹介されています。捨てるところがないほど利用価値の高いカニと言えます。
食べ方としては、2011年にデビューした「境港新かにめし」が紹介されています。紅ズワイガニを丸ごと1杯使い、包んだ紙を破って食べる新しいご当地グルメです。また、加工工場で茹でられた紅ズワイガニが直売所で売られていて、家で蒸すだけで手ごろにカニ料理を楽しめるとされています。
境港かに感謝祭
境港では、毎年1月に「かに感謝祭」が開かれ、紅ズワイガニが観光客に振る舞われるなど、多くのカニファンでにぎわうと鳥取県は紹介しています。境港は妖怪をテーマにした水木しげるロードでも知られ、カニと町歩きを一緒に楽しむこともできます。
冬の山陰では、松葉がにのシーズンと紅ズワイガニのシーズンが重なります。高価な松葉がにと、手ごろな紅ズワイガニを食べ比べるのも、山陰ならではの楽しみ方です。
家庭で楽しむ山陰のカニ料理
山陰の家庭では、高価な松葉がにだけでなく、親がにや若松葉がに、紅ズワイガニを使った気軽なカニ料理も親しまれています。
- かに汁:親がになどをぶつ切りにして煮出し、味噌で仕上げる汁物。殻から出るだしと、内子や外子のうまみを汁ごと楽しめます。
- 茹でガニ:産地で茹でたカニを、そのまま食べるのが基本。紅ズワイガニは、鳥取県の案内でも、家で蒸すだけで手ごろにカニ料理を楽しめると紹介されています。
- 甲羅茶わん蒸し・揚げガニ:鳥取県の食の紹介では、紅ズワイガニを使った料理の例として、甲羅茶わん蒸しや揚げガニなども挙げられています。
どの料理も、生のカニを使う場合は中心まで十分に加熱します。茹でたカニを汁物に使うときは、長く煮すぎると身が硬くなるので、最後に加えて温める程度にするとよいでしょう。殻のだしの取り方はカニの殻で取るだしの活用法で紹介しています。
ズワイガニの一生と資源のありがたさ

鳥取県の案内では、ズワイガニの一生についても紹介されています。ズワイガニは10回目の脱皮(甲羅の幅8cm程度)で成体になり、このころまではオスとメスの大きさに差がありません。しかし、11回目の脱皮のときにオスとメスで2倍近い大きさの差ができ、その後オスは脱皮を繰り返すものもあって、差はますます大きくなるとされています。
松葉がにの平均寿命は15年と言われていて、普段食べている大きな松葉がには本当に貴重なものだと、鳥取県は伝えています。漁期やタグ、最上級ブランドの取り組みは、こうした貴重な資源を守りながら、その価値を伝えるための仕組みでもあります。脱皮の仕組みはカニの脱皮とは?で詳しく紹介しています。
山陰でカニを味わうときのポイント
山陰でカニを楽しむなら、次の点を確認しておくと安心です。
- 出るカニが松葉がにか、紅ズワイガニか、親がにか
- タグ付きの松葉がにかどうか
- 1人1杯の姿か、何人かで分ける形か
- 茹で・焼き・鍋・刺身・かに汁など、どの料理で出るか
- 天候で入荷がない日の扱い
冬の日本海は荒れる日が多く、漁が休みになることもあります。旅の組み立てはカニ旅行のおすすめ産地と温泉地で紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 松葉がにと越前ガニは違うカニですか?
A. どちらも同じズワイガニのオスです。山陰の港で水揚げされたものを松葉がに、福井県の港で水揚げされたものを越前がにと呼び、タグや選別の基準が産地ごとに異なります。
Q2. 親がにとは何ですか?
A. 鳥取県などで使われる、メスのズワイガニの呼び名です。鳥取県の案内では旬は11〜12月で、かに汁によく使われると紹介されています。
Q3. 「松葉がにの日」はいつですか?
A. 11月の第4土曜日です。鳥取県の案内によると、平成12年に制定され、産地でイベントが開かれています。


