セコガニ・セイコガニ・香箱ガニの違い|メスのズワイガニの呼び名
セコガニ、せいこがに、香箱ガニ、親ガニ、コッペガニは、どれもメスのズワイガニの地域ごとの呼び名です。産地ごとの名前と漁期、内子・外子の違い、食べ方と選び方を整理します。
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どれもメスのズワイガニの呼び名
セコガニ、せいこがに、香箱ガニ、親ガニ、コッペガニ。名前はさまざまですが、どれも日本海で獲れるメスのズワイガニを指す地域の呼び名です。種が違うわけではなく、水揚げされる地域の言葉や、産地が付けた名前の違いと考えて差し支えありません。
オスのズワイガニが松葉ガニ、越前がに、加能ガニのように産地ごとのブランド名で呼ばれるのと同じく、メスにもそれぞれの土地の名前があります。旅行先のメニューや通販の商品名で見かけたら、「メスのズワイガニのことだな」と読み替えると、ほかの地域の商品とも比べやすくなります。
| 主な地域 | 主な呼び名 | 補足 |
|---|---|---|
| 石川県 | 香箱ガニ(こうばこがに) | 石川県のブランドでは「加能ガニ」のメスとして扱われる |
| 福井県 | せいこがに | 福井県の案内ではひらがな表記 |
| 京都府丹後 | コッペガニ | 京丹後市の観光情報で紹介されている呼び名 |
| 兵庫県但馬 | セコガニ | 山陰側で広く使われる呼び名 |
| 鳥取県 | 親がに、セコガニ | 鳥取県の案内では「親がに」 |
名前の由来については、「甲羅が箱のように見える」「背に子を抱える」など、いくつかの説が紹介されています。ただ、どれが正しいかを確かめられる資料は限られているため、由来は「諸説ある」くらいに受け止めておくのがよいでしょう。
漁期はオスより短い

メスのズワイガニは、オスより漁期が短く設定されています。資源を守るため、卵を抱えたメスを獲りすぎないようにする仕組みです。
| 地域 | メスの漁期の例 | オスの漁期の例 |
|---|---|---|
| 福井県 | 11月6日〜12月31日 | 11月6日〜翌年3月20日 |
| 京都府丹後 | 11月6日〜12月末 | 11月6日〜翌年3月20日 |
| 石川県 | 11月6日〜12月29日 | 11月6日〜翌年3月20日 |
| 鳥取県 | 11月上旬〜12月末 | 11月上旬〜翌年3月 |
石川県では自主的な取り組みとして、ほかの県より早い12月29日にメスの漁を終えています。漁期は年度によって見直されることもあるため、正確な日付は各県や漁協の最新の案内で確認してください。
つまり、メスのズワイガニを食べられるのは、例年11月の解禁から年末までのおよそ2か月です。年明けに産地へ行っても、生のメスは基本的に手に入りません。冷凍品や加工品は年間を通して売られていることがありますが、旬の時期に獲れたものを冷凍して流通させている商品です。
内子と外子の違い
メスのズワイガニの魅力は、オスでは味わえない卵にあります。甲羅の中の「内子」と、お腹に抱えた「外子」は、同じ卵でも段階が違います。
内子(うちこ) は、甲羅の内側にある卵巣です。まだ体の外に出ていない卵で、茹でると赤橙色に固まり、ねっとりとした濃い味わいになります。カニ味噌と一緒に食べると、コクがさらに増します。
外子(そとこ) は、お腹のふんどし(腹節)の内側に抱えている卵です。すでに産み出された卵で、プチプチとした粒の食感が特徴です。産み出されてからの時間によって色が変わり、はじめは明るい橙色で、発生が進むにつれて茶色から黒っぽい色に変わるとされています。黒っぽい外子は古いから黒いわけではありません。
| 部位 | 場所 | 食感・味の特徴 |
|---|---|---|
| 内子 | 甲羅の中(卵巣) | ねっとり濃厚。茹でると固まる |
| 外子 | お腹のふんどしの内側 | プチプチした粒。さっぱりした味 |
| カニ味噌 | 甲羅の中(中腸腺) | 内子と混ぜるとコクが増す |
| 脚・肩の身 | 脚と胴 | オスより細く量は少ないが甘みがある |
外子は、ふんどしの内側に付いている毛のような部分に絡んでいるので、指やスプーンでこそげ取るように食べます。お腹側の硬い殻やエラは食べません。
メスとオスの大きさと食べる量
メスのズワイガニはオスよりずっと小さく、甲羅の幅はオスの半分ほどの個体が多く見られます。脚も細いため、身の量は多くありません。その代わり、内子、外子、カニ味噌を一杯で味わえるので、「量より種類」を楽しむカニと言えます。
オスの姿と同じ重さで身の量を見積もると、実際より多く考えてしまいます。メスは脚肉が細い分、内子・外子・味噌も一緒に楽しむカニです。身の量を食卓の主役にしたいならオス、卵を含めた味の違いを楽しみたいならメス、というように食べたい部位から選べます。
地域ごとの食べ方
メスのズワイガニは、茹でてそのまま食べるほか、各地で独自の料理が生まれています。
- 石川県の「かに面」:香箱ガニの身、内子、外子を甲羅に詰め直し、金沢のおでん種などとして出されます。殻をむく手間を料理人が代わりに担う料理です。
- 鳥取県の「親がに汁」:鳥取県の案内では、親がにはかに汁によく使われると紹介されています。殻から出るうまみを汁ごと楽しめます。
- 炊き込みご飯:茹でたメスの身、内子、外子をほぐしてご飯と一緒に炊く食べ方も、産地の家庭で親しまれています。
家でさばくときは、脚を外してから甲羅を開け、内子とカニ味噌を取り出します。細い脚の身は、関節で切ってから麺棒などで押し出すと取り出しやすくなります。福井県は、せいこがにの食べ方をまとめた資料を公開しているので、初めての人は目を通しておくと安心です。
家でさばく手順
茹でたメスのズワイガニを家でさばくときは、次の順番にすると内子や外子を崩さずに取り出せます。
- お腹を上にして置き、三角形のふんどしを持ち上げる。外子が付いていれば、スプーンでこそげ取って小皿に移す。
- 脚を付け根から1本ずつ外す。細い脚は関節ではさみで切り、麺棒などで押して身を出す。
- 甲羅と胴の間に親指を入れ、甲羅を持ち上げるように外す。甲羅側に内子とカニ味噌が残る。
- 胴の両脇にある灰色のひだ(エラ)を取り除く。エラは食べない。
- 胴を縦半分に切り、さらに横に切って、肩の身をほぐす。
取り出した身、内子、外子を甲羅に戻して盛り付ければ、家庭でもかに面に近い形で楽しめます。殻の角で手を切りやすいので、布巾で押さえながら作業すると安全です。
旅行と取り寄せのタイミング
メスのズワイガニの生・冷蔵品は、漁期の11月上旬から年末までに流通します。冬の日本海は天候で漁が休みになることもあるため、宿や店では入荷の見込みと、入荷がない場合の扱いを確認します。取り寄せでは、茹でた冷蔵品か冷凍品か、到着日と解凍時間を合わせて選びましょう。
買うとき・食べるときの注意
通販や市場でメスのズワイガニを買うときは、呼び名だけでなく、次の点を確認します。
- 「メスのズワイガニ」「雌」などの表記があるか
- 水揚げ地と漁期内に獲れたものか(冷凍品なら加工日)
- 茹でてあるか、生か
- 1杯あたりのおおよその大きさや重さ
- 外子付きか(お腹側の写真があるか)
生のカニを買った場合は、中心まで十分に加熱してから食べます。茹でたものを冷凍した商品は、表示に沿って解凍し、解凍後は早めに食べきります。
甲殻類は食物アレルギーの原因になりやすい食品の一つで、「えび」「かに」は加工食品の表示が義務付けられています。来客や子どもに出す場合は、事前にアレルギーの有無を確認しておきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. セコガニと香箱ガニは味が違いますか?
A. 同じメスのズワイガニなので、呼び名によって味が決まるわけではありません。違いが出るのは、個体の大きさ、卵の状態、茹で方、獲れてからの時間などです。
Q2. 外子が黒っぽいのは傷んでいるからですか?
A. 外子は発生が進むと色が濃くなるとされ、黒っぽい色は成長の段階を示すことが多いものです。ただし、異臭がする、ぬめりが強いなど、ほかに気になる点がある場合は食べずに販売者へ相談してください。
Q3. 年明けにメスのズワイガニを食べる方法はありますか?
A. 生のメスは漁期外なので出回りません。漁期中に獲れたものを冷凍した商品や、缶詰などの加工品であれば、年明け以降も手に入ることがあります。