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タラバガニはカニじゃない?ヤドカリの仲間と言われる理由を解説

タラバガニが「カニではなくヤドカリの仲間」と言われる理由を、脚の本数、メスのお腹のねじれ、分類から解説。アブラガニ・花咲ガニなどの仲間、カニそっくりの姿になった進化(カニ化)、食べるときに知っておきたい違いも紹介します。

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タラバガニの実物
写真:Haddock L / U.S. Fish and Wildlife Service / Public Domain · 縮小・WebP変換

タラバガニはヤドカリに近い仲間

タラバガニは、見た目も名前もカニそのものですが、分類上はズワイガニや毛ガニのような「カニ」の仲間ではありません。国立科学博物館は、タラバガニを「カニではなくヤドカリの仲間」と説明しています。

甲殻類の中で、カニ、エビ、ヤドカリなどは、10本の脚を持つ「十脚目」というグループにまとめられています。その中で、ズワイガニや毛ガニなどの「カニ」はカニの仲間(短尾類)に、タラバガニはヤドカリの仲間(異尾類)に入ります。タラバガニ科には、タラバガニのほか、アブラガニや花咲ガニも含まれます。

とはいえ、食材としての「タラバガニ」という呼び名が間違っているわけではありません。分類の話と、料理や売り場での呼び名は別のものとして考えると分かりやすいでしょう。

理由1:外から見える脚が8本

生きたズワイガニ
写真:Totti / CC BY-SA 4.0 · 縮小・WebP変換

タラバガニがヤドカリの仲間とされる手掛かりの一つが、脚の数です。ズワイガニや毛ガニなどのカニは、ハサミを含めて10本の脚が外から見えます。一方、タラバガニの脚は外から8本しか見えません。

国立科学博物館の解説では、タラバガニは歩脚が3対しかなく、4番目の脚は短く甲羅の下に折りたたまれているとされています(ハサミを除いて数えた表現です)。つまり、脚がなくなったわけではなく、最後の1対がとても小さくなって、外から見えない場所にしまわれているのです。この小さな脚は、エラの掃除に使われると考えられています。

比べる点 ズワイガニ(カニの仲間) タラバガニ(ヤドカリの仲間)
外から見える脚 10本(ハサミ2本+脚8本) 8本(ハサミ2本+脚6本)
最後の1対の脚 外に出ていて歩くのに使う 小さく、甲羅の下に折りたたまれている
メスのお腹 左右対称 右にねじれている
1肩の本数 5本 4本

詳しくはカニの足は何本?で解説しています。

理由2:メスのお腹がねじれている

もう一つの手掛かりは、お腹(腹部)の形です。国立科学博物館は、タラバガニのメスの腹部が「右に捻れている」ことを特徴として挙げています。

カニの仲間のお腹は、オスもメスも左右対称の形をしています。一方、ヤドカリの多くは、巻貝の殻の中に体を入れて暮らすため、お腹が左右非対称にねじれています。タラバガニのメスのお腹がねじれているのは、ヤドカリに近い祖先の特徴が残っているためと考えられています。

姿のタラバガニを見る機会があれば、ひっくり返してお腹の形を観察してみると、ズワイガニとの違いがよく分かります。水族館でタラバガニの仲間が展示されていることもあるので、脚の数やお腹の形に注目して見比べてみるのもおすすめです。

カニそっくりの姿になった「カニ化」

ヤドカリの仲間なのに、なぜタラバガニはカニそっくりの形をしているのでしょうか。

生き物の研究では、カニではない甲殻類が、進化の中でカニによく似た平たい体の形になる現象が知られていて、「カニ化(carcinization)」と呼ばれています。ヤドカリの仲間の中では、貝殻を背負わずに暮らすようになった系統が、何度か独立してカニのような姿になったと考えられています。タラバガニの仲間や、南の島の陸上にすむヤシガニなどがその例として挙げられます。

貝殻に頼らず、自分の硬い殻で体を守るようになった結果、お腹を体の下に折りたたみ、平たく幅の広い体になった――と考えると、見た目がカニに似ていることにも納得がいきます。ただ、なぜ何度もカニのような形が生まれるのかについては、今も研究が続けられています。

タラバガニの仲間たち

タラバガニ科には、食卓でなじみのあるカニがほかにもいます。

  • アブラガニ:タラバガニと同じ属の別種。甲羅の中央の突起の数がタラバガニは6本、アブラガニは4本とされ、姿なら見分けられます。脚だけの商品では見分けにくいため、表示を確認します。詳しくはアブラガニとは?をご覧ください。
  • 花咲ガニ:北海道の根室など道東で水揚げされる、トゲの多いカニ。夏が漁期で、鉄砲汁が名物です。詳しくは花咲ガニとは?をご覧ください。

どれも外から見える脚は8本で、メスのお腹のねじれなど、ヤドカリに近い特徴を共通して持っています。売り場で姿を見かけたら、脚の数を数えてみると、ヤドカリの仲間であることが実感できます。

食べるときに知っておきたい違い

分類の違いは、食べ方の違いにも少し表れます。

脚が太く、身が大きい:タラバガニの脚は太く長く、1本から大きな身が取れます。焼きガニやボイルで、太い身をそのまま楽しむ食べ方が向いています。

カニ味噌を食べる習慣があまりない:タラバガニは、甲羅を外して脚(肩)の状態で流通することが多く、ズワイガニや毛ガニのようにカニ味噌を楽しむ食べ方は一般的ではありません。姿を手に入れても、カニ味噌を目当てにする種類ではないと考えておくのが現実的です。

1肩の脚が4本:タラバガニの1肩はハサミ1本と脚3本の計4本です。ズワイガニの1肩(5本)より1本少ないのは、体のつくりの違いによるものです。

食感については、「ズワイガニは繊細でやわらかい」「タラバガニは弾力があって食べ応えがある」と表現されることが多くあります。どちらが上ということではなく、好みで選ぶとよいでしょう。種類ごとの違いは全カニ比較でまとめています。

「タラバ」の名前の由来

タラバガニの「タラバ」は、魚のタラがとれる漁場(鱈場)を意味すると言われています。タラと同じような場所でとれることから、この名前が付いたとされます。

英語では red king crab(レッド・キングクラブ)と呼ばれ、王様のカニという名前が付いています。英語でも「crab(カニ)」と呼ばれていて、分類はヤドカリの仲間でも、食材としてはカニとして親しまれていることが分かります。国内の水揚げは少なく、食卓に並ぶ多くはロシアなどからの輸入品です。

国内の水揚げと資源の状況

国立科学博物館の解説によると、タラバガニの国内の水揚げは、200海里体制への移行によって大きく減り、現在は年間100〜200トン程度にとどまっています。一方で、年間数万トンが主にロシアから輸入されていて、日本の食卓に並ぶタラバガニの多くは輸入品です。同じ解説では、資源の状態についても懸念が示されています。

売り場でタラバガニを選ぶときは、原産地の表示も見ておくと、どこから来たカニなのかが分かります。輸入品は、漁獲後に茹でて冷凍した「ボイル冷凍」の肩脚やポーションが中心です。解凍の仕方や、ボイル済みか生かの確認は、タラバガニとは?で詳しく紹介しています。

アブラガニも同じように輸入品が中心で、甲羅を外した脚の状態では見分けが難しいことから、表示の種名が大切になります。2004年には、アブラガニをタラバガニと誤認させる表示をした事業者に、公正取引委員会が景品表示法に基づく排除命令を出したことが、水産研究・教育機構の資料で紹介されています。分類の違いを知っておくと、表示を読むときにも役立ちます。

よくある質問(FAQ)

Q1. タラバガニをカニとして売っても問題ないのですか?

A. 分類上はヤドカリの仲間ですが、「タラバガニ」は食材として広く使われている名前です。売り場で「タラバガニ」と表示されていること自体は、分類の話とは別のものです。

Q2. タラバガニの小さな脚はどこにありますか?

A. 甲羅の後ろの方の内側、エラが収まっている部分に折りたたまれています。外からはほとんど見えません。脚(肩)の状態で売られている商品では、この脚は付いていないことが多いです。

Q3. 毛ガニもヤドカリの仲間ですか?

A. 毛ガニはカニの仲間で、ハサミを含めて10本の脚が外から見えます。ヤドカリに近いタラバガニ、アブラガニ、花咲ガニとは別のグループです。

Q4. ヤシガニもヤドカリの仲間ですか?

A. ヤシガニも、貝殻を背負わずに暮らすヤドカリの仲間です。タラバガニと同じように、カニに似た姿になった例として挙げられることがあります。

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参考資料

次に読むならカニの足は何本?ズワイガニは10本・タラバガニは8本に見える理由

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