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越前ガニはなぜ有名?皇室献上の歴史・漁場・福井の冬のカニ文化

越前ガニが冬の名物として知られる理由を、港から近い段々畑のような漁場、明治から続く皇室献上の歴史、黄色いタグや「極」、せいこがにを楽しむ家庭の味、冬の水ようかんまで、福井県や越前町の資料をもとに紹介します。

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黄色いタグが付いた茹でた越前ガニ
写真:さかおり / CC BY-SA 4.0 · 縮小・WebP変換

冬の福井を代表する越前ガニ

福井県で水揚げされるオスのズワイガニ「越前がに」は、冬の福井を代表する味覚です。福井県は越前がにを「冬の味覚の王者」として紹介し、県の魚にも選んでいます。毎年11月6日の解禁日には、越前海岸の港に船が戻り、初競りの様子がニュースで伝えられます。

越前ガニが全国に知られる背景には、港から近い漁場、明治時代から続く皇室への献上、産地を示す黄色いタグ、そして地元の人々が冬の食卓で親しんできた文化があります。この記事では、越前ガニそのものの特徴よりも、「なぜ福井のカニが特別な存在になったのか」という文化の面に注目して紹介します。越前ガニの漁期や選び方は越前ガニとは?をご覧ください。

港から近い「段々畑」のような漁場

福井県観光連盟の案内では、越前がにの漁場付近は、水深が100m、150m、200mと段々畑のような地形になっていて、カニが生息しやすい漁場だと紹介されています。越前海岸は岸から急に深くなるため、漁場から港までが近く、水揚げ後すぐに新鮮な状態で港に運べるとされています。

越前町の資料によると、ズワイガニは水深200〜300mの深い海にすみ、福井県近海で獲られています。港から漁場が近いことは、獲れたカニを傷めずに持ち帰り、その日のうちに競りにかけるうえで大きな利点になります。

越前ガニの背景 内容(福井県・越前町・福井県観光連盟の資料より)
漁場 水深100m、150m、200mと段々畑のような地形
港までの距離 岸から急に深くなり、漁場から港が近い
すむ深さ 水深200〜300mの深海
タグ 黄色、長さ約20cm。ブランド名と水揚げ漁港名を記載
皇室への献上 明治42年(1909年)が最初とみられる

明治から続く皇室への献上

越前ガニの歴史を語るうえで欠かせないのが、皇室への献上です。越前町織田文化歴史館の資料によると、献上の最初は明治42年(1909年)とみられ、当時の福井県知事が丹生郡四箇浦(現在の越前町)から取り寄せたカニを東宮御所に献上したとされています。大正11年(1922年)からは毎シーズン献上が続けられていると紹介されています。

福井県観光連盟の案内でも、明治時代に越前町で獲れた越前がにを皇室に献上した記録が残っているとしています(年については資料によって明治42年・43年の記載があります)。長く続く献上の歴史は、越前ガニが特別なカニとして語られる理由の一つになっています。

越前町の資料では、ズワイガニが確実に記録に登場するのは安土桃山時代(16世紀後半〜17世紀初め)で、底引き漁が発達した16世紀以降に獲られるようになり、江戸時代の初めには漁村で食べられていたと考えられるとしています。「ズワイ」の名前は、細い枝を意味する「すわえ」がなまったものである可能性が高いとも紹介されています。

黄色いタグと「極」

福井県で水揚げされた越前がにには、黄色いタグが付けられます。福井県観光連盟の案内によると、タグは長さ約20cmで、「越前がに」のブランド名と水揚げされた漁港名が書かれています。タグを見れば、福井県のどの港で水揚げされたカニかが分かります。

特に大きく品質のよいものは、最上級ブランド「越前がに 極(きわみ)」として区別されます。福井県観光連盟の案内では、茹でる前の重さ1.5kg以上・茹でた後の重さ1.3kg以上、甲羅の幅14.5cm以上、爪の幅3cm以上に加え、姿かたちや甲羅の硬さなどの基準をクリアしたものとされています。

タグの意味や各地のブランドとの違いはカニのタグの色と意味で詳しく紹介しています。

せいこがにと福井の家庭の味

福井の冬のカニ文化を語るうえで、メスのズワイガニ「せいこがに」も欠かせません。福井県観光連盟の案内では、せいこがには「内子」「外子」と呼ばれる卵が人気で、漁期は11月6日から12月末までの約2か月間とされています。

オスの越前がにが贈答や特別な食事の主役になるのに対し、せいこがには、地元の家庭の食卓でも親しまれてきた身近なカニです。茹でたせいこがにの殻を家族でむき、内子や外子、カニ味噌を味わうのは、福井の冬の楽しみの一つとされています。

福井県は、せいこがにの食べ方をまとめた資料も公開しています。初めて食べる人は、脚、甲羅、ふんどしの順に分けていくと、卵を崩さずに取り出せます。詳しくはセコガニ・セイコガニ・香箱ガニの違いで紹介しています。

解禁日と冬の始まり

毎年11月6日の解禁に合わせて、福井県内の港から漁船が一斉に漁場へ向かいます。解禁の様子は、県内外のニュースでも毎年のように伝えられます。漁を終えた船が港に戻ると、その年最初の競りが行われ、最上級の「極」に高値が付くことなどが話題になります。

福井の人々にとって、越前がにの解禁は冬の訪れを感じさせる出来事です。解禁後は、港の近くの鮮魚店に茹でたカニが並び、せいこがにを買い求める人の姿も見られるようになります。冬の日本海は荒れる日が多く、しけで漁に出られない日が続くこともありますが、それも含めて冬の風物詩として受け止められています。

越前海岸の冬は、荒々しい波と雪景色が印象的です。海沿いの道からは、冬の日本海に打ち寄せる白波を眺めることができます。カニ料理と一緒に、冬の日本海の景色を楽しむのも、福井でのカニ旅行の魅力の一つです。

冬の水ようかん

福井の冬の食文化として、県外の人に驚かれることが多いのが、冬に水ようかんを食べる習慣です。一般に水ようかんは夏の和菓子というイメージがありますが、福井では冬になると店に水ようかんが並び、こたつで冷たい水ようかんを食べる光景が冬の風物詩として紹介されています。

カニ料理のあとの甘味として楽しむ人もいて、越前ガニと並ぶ福井の冬の味として、旅行の際に試してみるのもおすすめです。店によって味や形が違うので、食べ比べも楽しめます。

福井でカニを味わうときのポイント

越前ガニを現地で味わうなら、越前海岸沿いの宿や飲食店、港の近くの鮮魚店などが候補になります。予約や購入の前に、次の点を確認しておくと安心です。

  1. タグ付きの越前がにか、県内産のズワイガニか
  2. 1人1杯の姿か、何人かで分ける形か
  3. 茹で・焼き・鍋など、どの料理で出るか
  4. せいこがにが付くか(漁期は年末まで)
  5. 天候で入荷がないときの扱い

2024年には北陸新幹線が敦賀まで延伸し、福井県へのアクセスが便利になりました。冬は雪で交通が乱れることもあるので、時間に余裕を持った計画を立てましょう。旅の組み立てはカニ旅行のおすすめ産地と温泉地で紹介しています。

越前ガニを取り寄せるとき

現地に行けない場合は、取り寄せで越前ガニを楽しむこともできます。茹でた冷蔵品は届いたその日に食べる前提で日程を組み、冷凍品は冷蔵庫でゆっくり解凍します。タグ付きかどうか、1杯の重さが茹でる前か後か、到着日の指定ができるかを確認しておきましょう。

年末は注文が集中するため、早めの予約がおすすめです。贈り物にする場合は、相手が受け取れる日と、冷蔵庫・冷凍庫の空きも確認しておくと親切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 越前ガニと松葉ガニは何が違うのですか?

A. どちらも同じズワイガニです。福井県の港で水揚げされたものを越前がに、山陰の港で水揚げされたものを松葉ガニと呼び、タグや選別の基準が産地ごとに異なります。

Q2. 越前ガニの皇室献上はいつから続いていますか?

A. 越前町の資料では、明治42年(1909年)が最初とみられ、大正11年(1922年)からは毎シーズン続けられているとされています。

Q3. 越前ガニを食べるならいつがおすすめですか?

A. オスの越前がには11月6日から3月20日まで、メスのせいこがには12月末までが漁期です。両方を楽しみたいなら11〜12月が候補になります。天候で漁が休みになる日もあるので、予約時に確認してください。

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