冷凍カニのグレーズ(氷衣)とは?役割・重さの扱い・解凍と保存のコツ
冷凍カニの表面の氷の膜「グレーズ(氷衣)」はなぜ付いているのか。乾燥や冷凍焼けを防ぐ役割、計量法で内容量から除く考え方、グレーズ率とは何か、家庭での解凍・保存のしかたと、表面に霜が付いたときの見分け方を解説します。
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グレーズは冷凍カニを守る氷の膜
冷凍のカニやエビを袋から出すと、表面が薄い氷でコーティングされていることがあります。この氷の膜をグレーズ、または氷衣(こおりごろも)と呼びます。冷凍した魚介類の品質を保つために、加工の段階で付けられるものです。
冷凍庫の中はとても乾燥していて、食品の表面から水分が少しずつ抜けていきます。表面を氷で覆っておくと、カニの身が直接空気に触れにくくなり、乾燥したり、空気に触れて品質が落ちたりするのを防ぎやすくなります。
グレーズは食べる部分ではなく、解凍すると溶けて水になります。「水増し」と思われることもありますが、本来はカニのおいしさを保つための工夫です。カニのほか、エビやホタテなど、冷凍で流通するさまざまな魚介類に使われています。一方で、重さの表示でどう扱われているかは、買う側が知っておきたいポイントです。
グレーズが防ぐこと
冷凍中の食品に起きやすい劣化と、グレーズの役割をまとめます。
| 冷凍中に起きやすいこと | 内容 | グレーズの役割 |
|---|---|---|
| 乾燥 | 表面の水分が抜けて、身がぱさつく | 表面を氷で覆い、水分が抜けにくくする |
| 冷凍焼け | 乾燥や空気との接触で、色や風味が変わる | 空気に直接触れにくくする |
| 霜の付着 | 包装の中で霜が付き、品質が落ちる | 表面が氷で守られる |
農林水産省も、食品を冷凍保存するときはラップでぴったり包むか袋に入れて空気をしっかり抜くよう案内しています。空気が残っていると、品質が劣化したり、食品に霜が付いたりするためです。グレーズは、加工の段階でこれと同じような役目を果たしていると考えると分かりやすいでしょう。
内容量はグレーズを除いた重さが基本
グレーズは食べる部分ではないので、商品の重さの表示でどう扱われるかが気になるところです。
経済産業省の「計量法における商品量目制度Q&A集」では、冷凍食品や冷凍品は、氷衣を含まない裸の質量(正味量)を計量・表示するよう示されています。量り方としては、次の2つが挙げられています。
- 凍結前に量る方法:氷衣を付ける前の重さを量り、その値を正味量とする。
- 凍結後に量る方法:凍結後の重さを量り、別にサンプリングして測った「凍結後の重量に占める氷衣の割合(グレーズ率)」を使って正味量を推定する。
包装された商品のラベルの内容量は、グレーズを除いた重さが基本です。一方で、通販サイトの説明文では、氷を含む「総重量」を併記していることもあります。重さの表示の読み分けはカニの総重量と正味重量の違いで詳しく解説しています。
グレーズ率とは
グレーズ率は、凍結後の重さのうち、氷衣がどれくらいの割合を占めるかを表す数字です。計量法のQ&Aでも、正味量を推定するための方法として使われています。
グレーズの厚さは、カニの大きさや形、加工の方法、保存する期間などによって違います。「何%なら適正」という一律の基準が消費者向けに示されているわけではないので、グレーズ率だけで商品のよしあしを判断することはできません。
購入するときに大切なのは、グレーズの厚さそのものより、次の点です。
- 正味重量(内容量)がはっきり書かれているか
- 総重量を書く場合、氷を含むことが明記されているか
- 解凍方法の説明があるか
家庭での解凍のしかた
グレーズの付いたカニを解凍するときは、まず商品に書かれた解凍方法に従うのが基本です。書かれていない場合の一般的な流れを紹介します。
- 冷凍庫から出し、袋や容器に入れたまま、または網を敷いたバットに乗せる。
- 冷蔵庫に入れて、時間をかけて解凍する。
- 溶けた氷の水がたまったら捨てる。身が水に浸かったままにならないようにする。
- 表面の水分をキッチンペーパーで軽く拭いてから食べる、または調理する。
農林水産省は、冷凍された食品は使う分だけを解凍し、解凍したらすぐに調理すること、解凍は冷蔵庫や電子レンジで行い、水を使う場合は流水で行うこと、常温で解凍した場合は放置しないことを案内しています。
商品によっては、解凍前に表面の氷を流水でさっと落とすよう案内しているものもあります。その場合も、長く水にさらすと身から水分やうまみが抜けやすくなるので、短時間にとどめましょう。詳しい手順は冷凍カニの解凍方法で紹介しています。
家庭の冷凍庫で保存するとき
届いたカニをすぐに食べない場合は、家庭の冷凍庫で保存します。農林水産省は、冷凍室の温度は−18℃以下が適温と言われていると紹介しています。
保存するときのポイントは次のとおりです。
- 届いたらすぐに冷凍庫へ:受け取ったら時間をおかずに冷凍庫に入れる。
- 袋から出さない:元の包装のまま保存し、空気に触れさせない。
- ドアの開け閉めを少なく:温度が上がると、表面の氷が溶けたり再び凍ったりしやすい。
- 期限内に食べる:表示された賞味期限を目安に、早めに食べきる。
冷凍庫で長く保存していると、グレーズが少しずつ薄くなり、表面が乾きやすくなります。食べる予定に合わせて購入し、長期保存は避ける方が品質を保ちやすくなります。冷凍カニの期限の考え方は冷凍カニの賞味期限で紹介しています。
受け取りから食べるまでの流れ
冷凍のカニは、受け取ってから食べるまでの扱いで、グレーズの状態が変わります。流れの例をまとめます。
| タイミング | すること |
|---|---|
| 注文時 | 食べる日の数日前に届くよう到着日を指定する |
| 受け取り | 外箱を開けて、凍っているか、袋が破れていないかを確認 |
| 保存 | すぐに冷凍庫へ。元の包装のまま、他の食品で押しつぶさない |
| 前日 | 食べる分だけ冷蔵庫に移して解凍を始める |
| 当日 | 溶けた水を捨て、表面を拭いてから食べる・調理する |
受け取りのときに、カニが溶けかけていたり、袋の中に水がたまっていたりする場合は、輸送中に温度が上がった可能性があります。写真を撮って、販売者に連絡してください。
年末など、配送が集中する時期は、到着が遅れることもあります。食べる日の直前ではなく、少し余裕を持って届くようにしておくと安心です。ただし、冷凍庫で長く保存するとグレーズが薄くなりやすいので、早すぎる到着も避けた方がよいでしょう。
霜が付いているときの見分け方
袋の中に白い霜がたくさん付いていたり、カニの表面が白っぽく乾いていたりする場合は、保存中に温度が上がったり下がったりした可能性があります。
| 見た目 | 考えられること |
|---|---|
| 透明な薄い氷で覆われている | グレーズが保たれている状態 |
| 袋の中に霜が多い | 温度の変化で水分が移動した可能性 |
| 表面が白く乾いている | 乾燥や冷凍焼けが進んでいる可能性 |
| 一度溶けて再び固まったような塊 | 輸送や保存中に温度が上がった可能性 |
家庭の冷凍庫でも、ドアの開け閉めが多い場所や、ほかの食品の出し入れが多い場所では、温度が変わりやすくなります。カニは冷凍庫の奥の方にしまうのがおすすめです。届いたときにすでに溶けかけていたり、霜が多かったりする場合は、写真を撮って販売者に相談してください。異臭や変色がある場合は、食べるのを控えましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. グレーズが厚いのは悪い商品ですか?
A. 厚さだけでは判断できません。グレーズは品質を保つためのもので、正味重量がきちんと表示されていれば、消費者が損をするわけではありません。正味重量の表示を確認して比べましょう。
Q2. グレーズの氷は食べても大丈夫ですか?
A. グレーズは水を凍らせたもので、解凍すると溶けて水になります。溶けた水は捨て、カニの身を食べてください。
Q3. 家で冷凍したカニにもグレーズを付けた方がよいですか?
A. 家庭では、ラップでぴったり包んだり、保存袋に入れて空気を抜いたりする方法が手軽です。ただし、一度解凍したカニを再び冷凍すると品質が落ちやすいので、食べきれる量だけ解凍するのが基本です。
Q4. グレーズを落としてから冷凍庫に入れ直してもよいですか?
A. グレーズを落とすと表面が空気に触れやすくなり、乾燥しやすくなります。保存する間は、元の包装のまま冷凍庫に入れておき、解凍するときに商品の説明に従って扱うのがおすすめです。


