この記事で分かること
- 入社年の給与・賞与から年収を見積もる方法
- 初任給別の寄付上限額の試算
- 控除の時期と申請手続き
初任給を12倍すると、どれだけ年収を見誤る?
月給25万円、4~12月の給与が9回、賞与35万円、ほかに給与収入がない社員を例にします。
| 入力方法 | 見込み年収 | 何が違う? |
|---|---|---|
| 月給を12倍して賞与を加える | 335万円 | まだ入社していない1~3月の給与75万円まで含めてしまう |
| 給与9回分と年内の賞与を合計する | 260万円 | その年の支払予定に合わせた計算 |
この条件では、年収を75万円多く入力してしまいます。その年収から出した上限額まで寄付すると、一部が控除上限を超えて自己負担になるおそれがあります。翌年は12か月分の給与になる予定でも、今年の寄付に翌年の年収は使えません。
入力欄が「年収」のシミュレーターには、給与の額面を入れます。振込後の手取り額や、給与所得控除を引いた後の「所得」と混同しないようにしてください。
初任給20万・22万・25万・28万円の試算
2026年に4月入社し、4~12月に毎月同じ額面給与が9回支給されるモデルです。独身・扶養なし、給与収入のみ、社会保険料を給与年収の15%と仮定しています。
| 額面月給 | 給与9回分 | 賞与なしの概算上限 | 賞与を加えた年収例 | その場合の概算上限 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 180万円 | 約10,000円 | 賞与20万円、年収200万円 | 約13,000円 |
| 22万円 | 198万円 | 約13,000円 | 賞与25万円、年収223万円 | 約18,000円 |
| 25万円 | 225万円 | 約19,000円 | 賞与35万円、年収260万円 | 約23,000円 |
| 28万円 | 252万円 | 約22,000円 | 賞与45万円、年収297万円 | 約28,000円 |
この表は、上記の条件を当サイトの簡易シミュレーターに入力した目安です。2026年分の給与所得控除・所得税基礎控除と2027年度住民税の概算を使い、住民税の調整控除、非課税判定、年末調整の端数処理などは省略しています。
社会保険料の実額、生命保険料控除、扶養、医療費控除などがあれば結果は変わります。賞与額は仮定であり、勤務先の支給額を予測したものではありません。
上限額を詳しく知りたい方は、上限額シミュレーターをご活用ください。ご自身の年収と社会保険料、扶養の有無を入力して試算できます。
4月入社の年収を計算する手順
まず、給与明細の課税対象の支給額を集めます。手取り額にはしません。非課税の通勤手当などは給与収入に含めないため、年末の源泉徴収票では「支払金額」が基準になります。
たとえば月給22万円で給与が9回、賞与25万円、学生時代の給与8万円なら、見込み給与収入は 22万円×9+25万円+8万円=231万円 です。残業代や課税手当が別にあれば、その見込み額も加えます。
| 確認するもの | 年収への反映 |
|---|---|
| 学生時代のアルバイト | 同じ年に支払われた給与を合算。源泉徴収票を保管する |
| 夏・冬の賞与、寸志 | その年に支払われる課税対象額を合算する |
| 残業代・課税手当 | 給与に含める。未確定分を多く見込みすぎない |
| 入社月・給与の支払日 | 「4月入社だから9回」と決めず、12月までの支給回数を数える |
| 休職・退職・転職 | 予定年収を修正し、複数勤務先の給与を合算する |
初回給与が5月で、以後も翌月払いなら5~12月の8回です。4月分の給与が日割りになる勤務先では、初回明細の実額を使います。12月分が翌年1月の支払日になる場合、その分は翌年の給与収入に入ります。国税庁「年末調整の対象となる給与」は、1月1日から12月31日までに支払うことが確定した給与を対象としています。
アルバイトが給与ではなく業務委託などの報酬なら、給与と同じ方法で額面を足すわけではありません。必要経費や所得区分、確定申告の要否を確認します。
「新卒は住民税を払っていないから使えない」は誤り
住民税は前年の所得を基に計算されます。前年の学生時代の所得が非課税範囲なら、入社した年に住民税がかからない場合があります。前年に十分なアルバイト収入があれば、新卒でも住民税が発生することがあります。
2026年中の寄付は2026年の所得で控除を計算し、住民税分は原則2027年度に反映されます。今年の住民税の納付額ではなく、2026年の年収から寄付上限額を試算してください。
| 時期 | 何を基に計算する? | 新卒のふるさと納税との関係 |
|---|---|---|
| 2026年度の住民税 | 2025年の所得 | 学生時代の所得が少なければ課税されないことがある |
| 2026年中のふるさと納税 | 2026年の所得・控除 | 入社後の給与や賞与、同年のアルバイト給与で上限額を試算する |
| 2027年度の住民税 | 2026年の所得 | 2026年中の寄付に対する住民税の控除を反映する |
つまり、今年の給与明細に住民税の天引きがなくても、それだけで利用を見送る必要はありません。初年度から上限額の範囲で利用すれば、普段買う食品や日用品を返礼品で受け取れます。上限額を試算してから寄付し、申請を済ませることが前提です。
一方、年内の給与が少ない、所得控除が大きいなどの理由で来年度の住民税所得割も小さい場合は、控除枠も小さくなります。所得税がかからない年収でも住民税がかかる場合があるため、ふるさと納税の上限額は年収と控除の内容から別に試算します。
寄付したお金は、いつ控除される?
仮に控除上限額の範囲内で年間2万円を寄付し、必要な申請を済ませた場合、自己負担2,000円を除く1万8,000円が控除の対象になります。2,000円は寄付1回ごとではなく、年間の対象寄付の合計に対する負担です。仕組みは国税庁のふるさと納税の説明で確認できます。
ワンストップ特例なら、所得税相当分も含めて翌年度の住民税から差し引かれます。会社の給与から住民税が天引きされる人は、通常、翌年6月以降の住民税に反映され、同じ金額が口座に振り込まれる仕組みではありません。確定申告なら、その年の所得税の還付・減額と翌年度の住民税の控除に分かれます。
控除の時期とワンストップ特例の扱いは、横浜市の寄附金税額控除の説明にも記載されています。
寄付金は先に支払い、税金の控除は後から反映されます。
ワンストップ特例と確定申告を選ぶ
確定申告をする必要がなく、寄付先が年間5自治体以下なら、ワンストップ特例を選びましょう。 自治体へ申請すれば、ふるさと納税のためだけに確定申告をする手間を省けます。同じ自治体へ複数回寄付しても、自治体数は1つです。
| 方法 | 主な対象 | 控除が反映される税金 |
|---|---|---|
| ワンストップ特例 | 原則、確定申告が不要で、年間の寄付先が5自治体以内の人 | 所得税相当分も含め、翌年度の住民税から控除 |
| 確定申告 | 6自治体以上への寄付、医療費控除などで申告する人 | その年の所得税と翌年度の住民税で控除 |
ワンストップ特例では、所得税の控除に相当する分も、翌年度の住民税からまとめて差し引かれます。申請後に確定申告をする場合は特例が無効になるため、その年の寄付をすべて確定申告へ含めます。国税庁の制度説明とワンストップ特例の手順を参照してください。
学生時代にアルバイトをしていた人は、その勤務先の源泉徴収票を今の会社へ提出し、給与を合算して年末調整できるか確認してください。医療費控除などで確定申告をする場合は、ふるさと納税も一緒に申告します。
最初の寄付で上限を超えないために
年収がまだ分からない場合は、試算した上限額のうち10,000円程度を寄付せずに残し、12月の給与・賞与が確定してから最後の寄付額を決める方法があります。
寄付した自治体と金額の記録には、寄付メモをご活用ください。返礼品なしの寄付も含めて記録しておくと、年間合計と寄付先の数を確認できます。
一人暮らしなら量と保管場所から選ぶ
一人暮らしなら、食べ切れる量と収納できる量で選ぶと無駄が出にくくなります。冷凍庫が小さい人には小分けの肉や魚、冷凍品を増やしたくない人には缶詰・レトルト食品などが向いています。
予算5,000~10,000円なら、保存がきく食べ物から返礼品を探せます。上限額を試算した結果、寄付予算が2万~3万円になる人には、一人暮らし向けの記事にある生活費を意識した配分例も役立ちます。
制度の全体像はふるさと納税の始め方、給与年収が300万円以上の例は年収別の計算例にまとめています。